新規事業の初期リサーチ — 市場の構造、競合の顔ぶれ、顧客の声の収集 — は、かつて担当者が数週間かけて行う仕事でした。生成AIはこの工程を最も劇的に変えた領域のひとつです。ただし速くなった分だけ、間違いも速く量産できるようになりました。使い方の型が要ります。
生成AIを業務で活用する企業は34.5%、活用企業の86.7%が効果を実感。一方で、活用課題として「回答の正確性」を挙げる企業は50.4%にのぼります(帝国データバンク・2026年3月・有効回答10,312社)。
型①:構造化 — 市場の「地図」を先に描かせる
最初にやるべきは事実集めではなく、調べる項目の構造化です。「この市場のプレイヤーを、提供形態・顧客規模・価格帯の3軸で分類する枠組みを作って」— 生成AIは網羅的な分類枠の作成が得意です。地図ができてから、各マスを埋める調査に入ると、抜け漏れが激減します。
型②:仮説出し — 量を出させて人が選ぶ
顧客課題の仮説、競合の弱点の仮説、参入角度の仮説。生成AIには質より量を出させます。「考えられる顧客課題を30個」と指示し、人間が現場感覚で5個に絞る。AIの網羅性と人間の選球眼の分業が、最も速くて質の高い組み合わせです。アイデアが一般論に流れるのを防ぐ考え方は自社アセット起点の企画法をご覧ください。
型③:裏取り — 数字は必ず一次情報に当たる
生成AIが出した市場規模や統計は、そのまま企画書に載せてはいけません。実在しない調査の引用や、年度違いの数字が混ざるためです。実務ルールはシンプルです — AIの回答は「どこを調べるべきかのリスト」として使い、数字は必ず出典元(官公庁統計・業界団体・調査会社の原典)を開いて確認する。確認できない数字は使わない。役員会は出典のない数字を一発で見抜きます(役員会を通る事業企画書の条件)。
AIに任せてはいけない領域
顧客インタビューの解釈だけは人間の仕事です。発言の裏にある文脈、言い淀み、温度感 — 課題の本気度はそこに表れます。要約や文字起こしはAIに任せて構いませんが、「この課題は本物か」の判断を委ねた瞬間、リサーチは形骸化します。
出典:帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」(2026年3月・調査対象23,349社/有効回答10,312社)。