生成AIで市場を調べるなら、最初に何を決めるための調査かを1文にしましょう。AIには調べる論点や資料候補を広げてもらい、人が原典と対象条件を確かめて、今回の判断に使う根拠を選びます。
この記事では、調査の設計、AIへの依頼、資料の読み分け、公開情報で分からないことを確かめる手順を紹介します。数字や競合一覧を増やすだけで終わらず、次の試作や顧客確認へ進むために何が足りないかを説明できるようにします。
- まずは:企画書へ「誰について、何を決めたいか」を1文で書きましょう。以下では「AI調査の確認を助けるサービスを考え、次に調べる担当者と作業を選ぶ」という仮例で進めます。自分の調査なら、試作する案、参入する市場、比較するサービスなど、今回選びたい対象へ置き換えてみましょう。
- 1週間以内の実行案:その判断に必要な資料を探し、使える根拠と残る不明を分けましょう。原典が読めなければ数字を採用せず、別資料や既存記録、聞き取りへ進む問いを決めます。
市場調査の設計|何を決めるために、誰を調べるか
市場調査の対象と深さは、次に何を判断するかに合わせて決めましょう。企画を考える段階なのか、試作へ予算を使う段階なのかで、必要な資料も変わります。
ここからは、新規事業チーム向けの「AI調査の検証支援」を考える仮例で進めます。次に詳しく調べる担当者と作業を選ぶため、使い方、確認の負担、今の対処、外部へ頼む条件を調べます。
立場 | この例での役割 |
|---|---|
調べる企画者 | 検証支援を企画し、次に誰の仕事を詳しく調べるか決める。 |
仮の顧客候補 | 国内企業でAI調査を資料にする実務担当と、その確認者。 |
後で使う統計の回答企業 | 帝国データバンク(TDB)の調査に答えた企業。検証支援の顧客候補を集めて行った調査ではない。 |
市場の数字を使う場合は、地域、対象年、業種、会社数・事業所数・契約数などの単位もそろえましょう。「日本の企業」と「国内の事業所」は、同じ集計ではありません。
生成AIへの依頼例|論点と資料候補を広げる
AIを使いやすいのは、業界用語や関連語を広げる、調査項目を整理する、資料内の該当箇所を探すといった仕事です。最初から完成レポートを頼むより、調べる範囲を見直せる形にしましょう。
国内企業のAI調査の確認作業を調べています。次に詳しく調べる担当者と作業を選ぶため、①利用場面、②既存の対処・代替、③確認の負担、④外部支援の購入条件について、調べる問いと資料候補を挙げてください。原典URLと該当箇所を示し、確認できない項目は未特定としてください。案に反する材料や、公開資料では分からない問いも分けてください。
返ってきた候補は、次の軸で見直しましょう。AIがURLを付けても、本文を確認したことにはなりません。
- 市場・業界:用語や規模の定義、地域・時点、参入条件を調べる。
- 競合・代替:同じ条件の価格と提供範囲を比べる。手作業・既存ツール・何もしない選択も候補に入れる。
- 顧客・購買:誰が利用し、誰が確認・選定するかを調べる。公開事例にない条件は、次の確認へ残す。
社内資料や有料資料を使う場合は、閲覧できることとAIへ入力・共有できることを分け、自社の許可範囲を確認しましょう。架空の顧客役にAIが答えた内容は、質問案の検討に使えても、実顧客の声や人数には数えません。
AIリサーチの出典確認|原典と調査条件を確かめる
AIが示した出典は原典を開き、主張との対応と調査条件を確かめてから採否を決めましょう。数字だけを抜き出さず、次の順で読んでみましょう。

- その主張を支えているか:引用した箇所は、対象や原因まで含めて同じ意味か。
- 誰をどう調べたか:対象、回答数、質問、複数回答、推計方法を確かめる。
- 今回の条件に合うか:地域、時点、顧客、単位が違わないか。
- 判断に要る問いが残っていないか:購入条件、代替、案に反する材料なども見る。
企画者がTDBの生成AI調査を見つけたとします。まず、今回知りたいことと、原典の調査対象・設問を比べてみましょう。次の図は実在する調査値です。この数値は、生成AIの正確性への懸念を説明する背景として採用します。

- 企画者:半数ほどが正確性を心配しているなら、検証支援は売れそうですね?
- 確認する人:たとえば、自社内で十分確認できている企業なら、正確性は気にしても外注を選ばないことがあります。予算を組む前に、今の確認方法を聞いてみましょう。
数値が食い違う資料は、すぐ平均せず、企業と事業所、対象年、売上と出荷、実績と予測などの定義を比べましょう。同じ調査の転載を、別々の裏付けとして数えないことも大切です。
市場規模を試算する場合は、入力値を「観測した値」「別条件から使った値」「仮定」に分けます。計算が合っていても、広い産業規模の任意の1%が自社の売上になるとは言えません。販売できる顧客数、調達期間、導入を支える人手も確かめましょう。
市場調査の次の一手|公開資料で分からないことを確かめる
公開資料で答えが出ない問いは、まず許可された商談・問い合わせ・利用の記録で確かめ、残った問いを聞き取り・観察・試験へ渡しましょう。調査会社や官公庁の原典を読む調査と、自社が人に聞く・観察する・試す調査では、確かめられることが違います。
残った問い | 次の確認先と聞くこと |
|---|---|
AI調査の何を確認し直しているか | 直近の資料作成担当へ、原典を探し直した箇所と、今の対処を聞く。 |
差戻しが起きたか、なぜか | 資料を確認した人へ、同じ一件で何を確認したか、差戻しがあった場合は理由も聞く。 |
外部へ頼める条件は何か | 選定や予算判断に関わる人へ、最近の委託条件、守秘、受入条件を聞く。 |
別の用事でも、原典の調査で尋ねたことと、自分が知りたいことを比べる手順は同じです。たとえば店舗の出店候補を選ぶ調査なら、地域の人口は背景として使えても、その立地で自店が選ばれる理由は、通行や競合、顧客の使い方などを別に確かめます。
作る側と確認する側で、同じ資料の認識に違いがあるか、あればどこかを確かめましょう。相手の募集や質問は、顧客インタビューの手順で確認してみましょう。
自分の調査も、今回の判断/主張と原典の箇所/使える範囲/残る問いと確認先を並べましょう。資料の本数が増えたことより、次の判断に何を使い、何をまだ使えないかが分かることを到達点にします。