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新規事業の予算・稟議の作り方|段階投資で、次に確かめることまで承認を取る

公開 2026-11-03方法論読了目安 7分
監修
#新規事業#段階投資#予算管理#検証#経営

「売上の根拠が弱い」と言われても、試す予算がなければ確かめられない。かといって、事業化までの大きな金額を一度に求めると、承認する側も判断に困ります。

確度が低い段階では、次の判断に必要な確認へ予算を付け、結果を見て次の投資を決める方法を検討しましょう。 これが段階投資の考え方です。総費用を見せない方法でも、少額なら承認されるという話でもありません。

この記事では、今回の承認範囲、費用、続ける条件を一つの稟議例で説明します。「何にいくら使い、何が分かれば次へ進むか」を、決裁者と相談できる形にできます。

  • まず行うこと:企画書に残っている不確かさを一つ選び、「これが分からないまま、どの投資を決めようとしているか」を書き出します。

  • 今週の進め方:その不確かさを調べる方法と必要な費用を見積もり、決裁者へ今回の上限・社内協力・再判断の条件を相談しましょう。見積もりがそろわない場合は、金額を確定したふりをせず、見積取得の担当と期限を決めるところまで進めます。

段階投資では、「作る予算」の前に「何を確かめる予算か」を決める

次の支出を決めるうえで、外れたら計画が変わる仮説から確かめましょう。 調べやすい項目だけを先に消しても、大きな投資の判断は変わらないことがあります。

たとえば、点検記録を探しやすくするサービスの案があるとします。「利用者が記録を探す仕事で困っているか」が不明なら、本開発より先に現在の作業を調べる必要があります。仕事は分かっていても、必要な情報を扱う許可が得られないなら、先に利用条件を確かめます。

まだ分からないこと

今回予算を付ける候補

その確認だけでは決まらないこと

誰のどの仕事を変えるのか

最近の作業・記録の確認、対象者の調査

サービスの売上や市場全体の需要

提案した方法で仕事を完了できるか

限定した試作と作業テスト

本番環境の安定運用や継続購入

費用に見合って継続できるか

提供条件を明示した試行、運用費・支援負担の確認

全顧客への展開や長期の利益

Stage-Gateの公式説明では、活動を行う段階と、その結果をもとに継続・中止・保留・やり直しを判断する場を分けています。判断には、次の計画と必要な資源の承認も含まれます。

社内稟議に取り入れるなら、すべての会社を同じ段数に合わせる必要はありません。次の投資を決められるところで区切り、誰が判断するかを明確にしましょう。

稟議には、今回の上限と、その先に必要な費用を分けて書く

今回の承認額だけでなく、その先に大きな費用が控えているかも示しましょう。 小さな予算を重ねるうちに、撤退しにくい契約や設備を抱えてしまっては、投資を区切る意味が薄れます。

以下は、現在の作業と情報の利用条件を確認できた後、簡単な試作で作業を確かめる段階の記入例です。期間・金額・稼働は説明用の仮置きで、相場やPROTOCOREの料金ではありません。

稟議の記入例:点検記録を探す試作の評価
決めたいこと:本開発の見積もりへ進むか、対象・方法を変えるか、中止するか。
現在の材料:既存の作業手順と、利用を認められたサンプル記録。実際の検証結果はまだない。
今回確かめること:必要な記録を正しく見つけられ、準備・検索・確認・修正を含む負担を軽くできるか。
実施:2週間を予定し、簡単な試作を使って対象業務の作業を確認する。条件や対象者を確保できない場合は、開始前に計画を見直す。
支出上限:税込20万円。内訳は試作8万円、募集・謝礼6万円、試行環境2万円、予備費4万円。予備費の使用も責任者の承認を得る。
社内稼働:企画12時間、現場6時間、記録・確認4時間の計22時間を見込む。社内の基準に沿って人件費を計上する。
次の承認:本開発・運用費は今回に含めない。見積もりを取得し、別途判断する。自動更新や長期契約は結ばない。
判断役:事業責任者。確認役は現場責任者と情報管理担当。試行後の企画会議で結果と費用を報告する。
稟議の記入例の承認範囲。社外支出の上限20万円(試作8万・募集謝礼6万・試行環境2万・予備費4万)と社内稼働22時間(企画12・現場6・記録確認4)を今回分とし、本開発・運用費は含めず別途判断する。

本開発費がまだ分からないなら、「未見積もり」と書き、誰がいつ取得するかを付けます。概算を置ける場合も、前提と幅を示し、今回の承認に含む額と混ぜないようにします。

社外支出の上限だけ決めても、現場が協力できなければ試行は成立しません。依頼する作業と時間を現場責任者に確認し、承認前に実施できる体制を確かめましょう。

続ける・直す・止める条件は、結果を見る前に合意する

「手応えがあったら継続」では、人によって判断が変わります。 何を見せれば、誰が次の投資を判断できるかを、試す前に合わせましょう。

先ほどの例なら、判断を次のように分けられます。

  • 次の見積もりへ進む候補:対象業務で必要な記録を正しく探せ、確認・修正込みの負担も改善している。情報の扱いと運用担当の条件を満たし、残る問題を説明できる。
  • 方法や対象を直して再確認:使える場面と使えない場面が分かれた、または検索は速いが準備・照合の負担が増えた。直す箇所と追加費用を示し、再試行の承認を求める。
  • 保留:対象者や必要な記録を確保できず、仮説を判定できなかった。確保の見込みと期限を決め、試していないことを不合格扱いしない。
  • 中止の候補:既存の方法で用が足りる、または必要な情報の利用が認められないなど、今回の案が成立する条件を満たせない。別案へ転用できる材料を残す。

「正しく探せる」の判定は、現場責任者が対象記録と期待する結果を決め、誤った記録を出した場合の影響も確認します。許容できる負担や品質の水準は、業務に合わせて合意しましょう。参加人数や好意的な感想の数だけを、継続条件にしないことが大切です。

結果は、確認できたこと/反例・未確認/支出・社内負担/次の選択と必要額に分けて報告します。想定と違う材料が出たら、条件を都合よく緩めるのではなく、計画変更として判断役へ戻します。

設備や契約を小さく切れない場合は、やめるときの負担も先に見る

段階投資でも、設備、安全上の評価、最低契約期間など、初期にまとめて費用が必要な場合はあります。少額に分けること自体を優先せず、何を先に確認でき、何を一度決めると戻せないかを分けましょう。

設備を買う前に外部設備や試験サービスを使えるか、契約を工程で区切れるかを確認します。代わりの方法では実際の条件を再現できないなら、その限界も稟議へ記載します。

あわせて、途中終了時の精算、返却・移行、維持費などを調達・経理の担当者へ確認します。Effectuationの「Affordable Loss」も、予測する利益だけでなく、引き受けられる損失から行動範囲を考える原則です。少額なら何でも試してよい、という意味ではありません。

稟議を出す前に、決裁者へ説明する一文の例です。

「今回は○○を確かめるために、支出上限○円と社内○時間をお願いします。○○の結果を確認し、次の投資は○○さんが別途判断します。」

空欄が埋まらない場所が、承認前に相談する論点です。金額を小さく見せるより、何を学び、どこで投資を見直せるかを伝えましょう。

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園田 励

Supervisor

園田 励REI SONODA

PROTOCORE 代表取締役 | Founder / Business Producer

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