Anthropicは2026年11月2日、Claude APIのメッセージスレッドを公開ベータで提供しました。会話全体を毎回送り直さずに済む機能ですが、企業が先に決めるべきなのは速度ではなく、履歴をどこに残し、切れたときにどう再送するかです。
速さの改善は、履歴の持ち方から始まる
メッセージスレッドでは、最初のリクエストで会話・システムプロンプト・ツールを登録し、後続のリクエストでは新しいメッセージとスレッドの継続情報を送ります。Anthropicの説明では、Claude Codeの事例で応答開始までの時間が約35%下がり、リクエストサイズが約800KBから1.8KBになりました。ただし、これはClaude Codeでの測定です。自社の改善幅を保証する数字ではありません。
サーバー側の保持を、業務履歴の保管場所にしない
スレッドの内容は暗号化されたサーバーメモリに保持され、最後の利用から5分で期限切れになります。削除は最後の利用から1時間以内で、ゼロデータ保持(ZDR)には対応しません。監査、顧客対応、再現検証に必要な履歴まで預ける機能ではないと考えるべきです。
先に決めるのは、正本と再送経路
導入を検討するチームは、アプリ側を会話履歴の正本にし、スレッドは一時的な転送負荷の削減に限定する設計から始めます。5分の期限切れや404が起きたら、保存済みの履歴から新しいスレッドを作り直す経路も必要です。システムプロンプトやツール定義はスレッド作成後に変更できないため、変更時に新規スレッドへ切り替える条件も決めておきます。速くなるかを測る前に、履歴を失わず戻れるかを確かめる。それが公開ベータを業務へ入れるときの最初の判断です。
出典:
- Anthropic「Message threads」https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/message-threads
- Anthropic「Claude Platform release notes」https://platform.claude.com/docs/en/release-notes/overview
- ClaudeDevs「Message threads are now in public beta on the Messages API」https://x.com/ClaudeDevs/status/2117332449382510884
- ClaudeDevs「Claude Codeでの応答開始時間とリクエストサイズ」https://x.com/ClaudeDevs/status/2117332451231956997