問い合わせやアンケートを生成AIで分類したら、「操作が分かりにくい」が最多になった。この結果を、そのまま改善の優先順位に使ってよいのでしょうか。
分類ごとに原文を抜き出し、人が照合してから使う範囲を決めましょう。この記事では、確認の手順と記入例を通じて、商品担当へ渡せる情報と、追加確認が必要な情報を分けます。
まずは、渡す予定の分類を1つ選び、原文IDから元の記録を開けるか確認しましょう。
今週は、その分類と「その他」を照合し、誤りや保留理由を記録するところまで進めます。用意するのは、ID付きの原文、分類の定義、確認する担当者です。
原文と担当者と分類の定義をそろえる
照合に必要なのは、次の3つです。
- 原文への経路:問い合わせ番号や回答IDから、元の記録を開ける。
- 担当者:原文を照合する人と、商品改善に使うか決める人が決まっている。
- 分類の定義:各分類に入れる内容と、入れない内容が書かれている。
不足があれば、業務判断への利用はいったん保留しましょう。全件で条件をそろえにくい場合は、直近のアンケート1回分など、確認できる範囲に絞る方法もあります。
AIにはID付きの原文と分類の定義を渡し、分類名に加えて根拠にした原文の箇所を返してもらいます。定義を決めることと、結果を採用する判断は、人の役割です。
原文を抜き出し AIの分類と比べる
予約管理サービスへの問い合わせを、「操作が分かりにくい」「料金」「不具合」「要望」に分けた仮例で見てみましょう。
- 使う基準を先に決める。商品担当と使い道を確認し、どの程度の誤りなら利用を見送るか合意します。結果を見てから基準を動かさないためです。
- 各分類から原文を抜き出す。多い分類だけでなく、少ない分類や「その他」も対象にしましょう。
- AIの分類名を見ずに判定する。定義に沿って人が判定した後、AIの結果と比べます。人同士でも判断が分かれた原文は、無理に振り分けず保留です。
- 不一致と保留の理由を残す。原文IDとともに、ずれた内容や、判断に足りない情報を記録しましょう。
たとえば「操作が分かりにくい」に、「スタッフのアカウントでは予約画面が見えない」という声が含まれていたとします。原文だけでは、権限設定、不具合、案内不足のどれが原因かは分かりません。
この場合の記入例は、次のとおりです。
原文:「スタッフのアカウントでは予約画面が見えない」(問い合わせ番号を添える)
AIの分類:操作が分かりにくい
人の判定:保留。操作の問題か、不具合かを判断できない
理由:原因を絞る情報がなく、分類の定義にも「画面が見えない声」の扱いがない
次の確認:問い合わせ担当者が対応履歴を読み、商品担当へ画面の表示条件を確認する
定義を書き足すか、分類を分けるかは、追加確認の結果を踏まえて決めましょう。照合では、次の点も見落とせません。
確かめること | 見る箇所 | 残す記録 |
|---|---|---|
定義どおりの分類か | 原文とAIが示した根拠 | 一致・不一致・保留と原文ID |
複数の話題がないか | 長文に限らず、抜き出した原文すべて | 主な話題と副次的な話題 |
否定や条件を落としていないか | 「〜ではない」「〜なら良い」を含む原文 | 原文の否定・条件とAIの扱い |
曖昧な声を推測で分けていないか | 何が「使いにくい」のか不明な原文 | 推測で付いた分類と保留した件 |
少数の重大な声が埋もれていないか | 少ない分類・その他・分類なし | 内容、分類の候補、担当へ渡した原文ID |
安全などに関わる重大な申告は、集計を待たず社内で定めた担当へ渡します。原因は断定せず、分類基準の修正より先に引き継ぐ扱いです。
確認した範囲と使い道に応じて判断する
抜き出した原文が正しく分かれていても、未確認の原文まで正しいとは限りません。確認範囲と誤りを踏まえ、次のように判断しましょう。
- 使う:事前の基準を満たした分類を、決めた用途に限って使います。
- 範囲を絞る:一部に誤りや保留がある場合は、基準を満たした分類だけを使う方法です。保留した声を、どちらかへ寄せて数えないようにしましょう。
- 保留する:多くの分類に誤りがある、または原文に戻れない場合は、定義や入力から見直します。

定義を直して再分類した後は、修正に使っていない別の原文で再確認します。修正時に読んだ原文だけでは、その例に合わせた定義でも合って見えるためです。
人による判定や、改善用とは別のデータで評価する考え方は、OpenAIの評価ガイドも参考になります。ここでは照合方法を考える参考として紹介しています。
分類の件数だけで改善の順番を決めない
分類が合っていても、件数は声を寄せた人の申告を数えたものです。問い合わせをしない利用者もいるため、利用者全体で困っている割合とは限りません。
実際に操作が止まっているかは、利用記録などでも確かめましょう。商品担当は、寄せられた声に加え、影響を受ける利用者や改善の負担を見て、どこを直すか判断します。
渡す資料には、分類の定義、照合日、対象範囲と件数、見つかった誤り、保留事項と次の確認先を添えてください。確認できた範囲と、まだ分からない点を一緒に渡すことが、分類結果を使う出発点です。