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AIで申請・苦情が急増、84事例の論文。先にあふれるのは「手間」で守られていた窓口

公開 2026-10-18データ・リサーチ読了目安 5分
監修
#新規事業#AI活用#調査データ#業務効率化#顧客理解

米ペンシルベニア大学ウォートン校のEthan Mollick氏は10月18日(日本時間)、政府や企業がエージェント型AIによる問い合わせであふれ始めているとXに投稿しました。添えたグラフは、Hertie SchoolのChris Schmitz氏らの論文から引用したものです。論文は、AIで申請や苦情を書く手間が減り、行政への提出が急増する現象を「agentic flooding」と呼び、11の国・地域で84の事例を集めました。企業が読み取りたいのは、どの窓口からあふれやすいかという見立てです。

あふれやすいのは「通れば価値があり、手間で守られていた」窓口

論文によると、近い将来のリスクが最も高いのは、1件ごとの提出に金銭的な価値や法的な対応義務があり、件数を抑えていたのが仕組みではなく手続きの複雑さや専門知識だったサービスです。例として、税の申告や裁判所への請求を挙げています。ただし、論文の手法ではAIが急増の原因だと因果的には言えないとも明記しています。

対応は「手間を戻す」か「設計し直す」か

論文は対応を2つに分けます。手数料や対面の手続き、提出数の上限で需要を抑える策は、速く導入でき効果も出ています。一方で、利用者の体験を悪くし、手続きの不公平を生み得ます。本人確認付きの構造化された入力画面や、処理へのAI導入で処理能力を高める策は、初期投資が大きくなります。

自社の窓口を2つの問いで仕分ける

同じ見立ては、企業の受付窓口にも使えると考えます。たとえば、製品の保証・返金の申請を自由記述のフォームで受けている場合です。通れば申請者に価値があり、件数を抑えてきたのが上限や本人確認ではなく「書くのが面倒」だったなら、AIが文面を書くようになると件数は増え得ます。Schmitz氏はTechCrunchに、行政への新たな申請の大半は本来請求できる人によるものだと述べています。

そこで、受付窓口を「通れば相手に価値があるか」「件数を抑えているのは設計か、手間か」の2つで仕分けることを提案します。両方に当てはまる窓口は、手数料や制限で手間を戻す前に、入力項目の構造化や本人確認で設計し直せないかを先に検討します。

あふれやすい窓口を2つの問いで仕分ける 論文の見立てを、受付窓口の組み合わせに当てはめた図 問い2 ── 件数を抑えているのは 設計(上限・本人確認) 手間(複雑さ・専門知識) 問い1 ── 通れば相手に価値があるか ある 金銭的な価値や 法的な対応義務がある 小さい 通っても 相手の価値は小さい 近い将来のリスクが最も高い 論文が挙げた例 ・税の申告 ・裁判所への請求 企業の窓口なら ・保証・返金の自由記述フォーム 価値はあるが 件数を抑えているのは 上限や本人確認などの設計 価値も小さく 設計で件数を抑えている 手間で抑えているが 通っても相手の価値は小さい ※論文が「近い将来のリスクが最も高い」としたのは右上の組み合わせ(AIが急増の原因だと因果的には言えないとも明記) リスクが高い窓口への対応は2つ 1 設計し直す 本人確認付きの構造化された入力画面/ 処理へのAI導入で処理能力を高める + 処理能力が上がる - 初期投資が大きい 2 手間を戻す 手数料/対面の手続き/提出数の上限で 需要を抑える + 速く導入でき効果も出ている - 体験の悪化・手続きの不公平 両方に当てはまる窓口は、手間を戻す前に設計し直せないかを先に検討する。
通れば相手に価値があり、件数を抑えてきたのが設計ではなく「手間」だった窓口(右上)が、AIであふれやすい。該当する窓口は、手数料や上限で手間を戻す前に、入力項目の構造化や本人確認で設計し直せないかを先に検討する。記事本文より作図。
出典:

TOKO

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Content Design / Media Ops

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