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生成AIは商品開発のどこで効いているか — 業務別データから選ぶ次の工程

公開 2026-10-08データ・リサーチ読了目安 7分
監修
#調査データ#生成AI#新規事業#データ活用

生成AIを商品開発に活かすなら、まず業務ごとの利用状況と効果を整理し、次の判断が止まっている工程から試す対象を選びます。議事録やメールで使えていても、新商品・新サービスの開発で何が変わったかは、別に確かめる必要があります。

担当者が上司へ提案するときも、経営者や個人事業主が次の取り組みを決めるときも、出発点は同じです。どの作業をAIに任せ、何を人が確認し、どんな結果なら続ける・変える・止めるのか。調査データを自社の目標値にする前に、業務の単位まで具体化しましょう。

活用方針と利用実態 — 数字の対象をそろえて読む

総務省「令和8年版 情報通信白書」が示す2025年度企業向け調査では、日本で生成AIを「積極的に活用する方針」「領域を限定して利用する方針」とした割合の合計は68.9%でした。前年度の2024年度調査では49.7%で、活用する方針を持つ企業の割合は上昇しています。

日本の生成AI活用方針:「積極的に活用する方針」「領域を限定して利用する方針」の合計は68.9%。一方、活用方針が「わからない」と答えた企業を除くと、何らかの業務で生成AIを利用している割合は86.4%でした(総務省「令和8年版 情報通信白書」、2025年度企業向け調査)。

自社でも、利用を認めていることと、実際に業務で使っていることを分けて記録します。さらに、試しに使った段階なのか、日々の仕事に組み込んでいるのかを添えると、次に確認する対象が明確になります。

業務によって違う、生成AIの使われ方と効果実感

同じ調査の日本の業務類型別の活用では、「議事録・メール作成補助」が約7割で最も高く、「営業・販売」が約6割、「社内ヘルプデスク」が約5割と続きます。効果を実感する割合も「議事録・メール作成補助」が約7割で、ほかの類型より顕著に高いとされています。

これらは回答企業の利用状況や効果実感を示すもので、作業時間の削減率や商品開発の成功率ではありません。利用する割合と効果を実感する割合が近くても、同じ企業が同じ結果を得たと読み替えることはできません。

調査で分かることと、理由の見立てを分ける

国際比較では、日本は全体的に「未導入」「わからない」の割合が高く、米国・中国は各業務で活用率が高い傾向です。特に「研究・商品開発」で効果を実感する割合が高いとされています。ただし、この比較だけで、日本で効果実感が低い理由や、どの使い方が成果を生んだかまでは説明できません。

ここから考えられるのは、成果物の形が決まり、品質を確認しやすい業務ほど、生成AIによる変化を捉えやすいのではないかということです。議事録なら元の記録と照合できます。一方、商品開発では、企画案が整っていても、利用者の課題を解決できるか、導入担当者や経営層が購入を決めるかは、相手に確かめる必要があります。

商品開発では、AIの出力そのものより、その後に誰へ何を確かめ、どの判断まで進めたかを見る必要があります。自社で見るべきなのは、AIの出力ができた後、誰のどんな判断につながったかです。

商品開発を工程に分け、AIに任せる作業を決める

ここでは商品開発を、「調べる・形にする・顧客に見せる・反応を整理する」の4つに分けます。実証済みの正解ではなく、AIを使う範囲と、人が確認する範囲を整理するための仮説です。

  • 調べる — 手元の資料から論点や比較項目を整理する。人は出典と内容を確かめ、判断に足りない情報を特定する。
  • 形にする — 企画の説明文や試作品のたたき台を作る。人は確かめたい仮説に必要な範囲を選び、相手に示せる内容か確認する。
  • 顧客に見せる — 説明の順番や質問案の作成を補助させる。人が利用者や導入担当者に提示し、実際の反応や行動を確かめる。
  • 反応を整理する — 聞き取りや利用の記録を要約・分類する。人は元の記録に戻り、発言と解釈を分けて、次の検証を決める。
商品開発の工程別:AIに任せる作業と人の確認 調べる、形にする、顧客に見せる、反応を整理する、の順にAIの作業と人の確認を並べた図。本記事が提案する仮説であり、実証済みの手順ではない。 商品開発 × 生成AI 工程ごとに、AIの作業と人の確認を組にする 本記事の提案する仮説:自社で試すための整理であり、実証済みの手順ではありません。 工程の流れ AIに任せる作業 人が確認・判断すること 調べる 形にする 顧客に見せる 反応を整理する 手元の資料から論点・比較項目を整理 企画の説明文・試作品のたたき台を作る 説明の順番・質問案の作成を補助 聞き取り・利用の記録を要約・分類 出典と内容を確かめる判断に足りない情報を特定 仮説の検証に必要な範囲を選ぶ相手に示せる内容か確認 利用者・導入担当者に提示実際の反応や行動を確かめる 元の記録に戻る発言と解釈を分ける次の検証を決める 各工程で「使える材料・欲しい出力・確認する人」を組にする。
商品開発の工程別に、AIに任せる作業と人が確認・判断する内容を整理した図。本記事の仮説に基づくもので、実証済みの手順ではありません。

工程ごとに、使える材料、欲しい出力、確認する人を組にします。調べたい問いが曖昧なら問いを絞る。元の記録がなければ記録を集める。出力を判断できる人がいなければ確認役を決める。足りない条件が見えたら、それを整えることが次の行動です。

作業の速さと、検証の進み方を別々に記録する

作業面では、入力の準備から出力の確認・修正までを含め、現在の方法と比べます。生成が速くても修正が増えたなら、その負担を残します。検証面では、利用者に見せられたか、未確認だった前提について何が分かったか、企画を変える判断に進めたかを記録します。

AIが生成した顧客像や予想した反応は、実際の利用者から得た証拠にはなりません。資料を作れたこと、相手に確かめられたこと、購入の判断まで進んだことは、それぞれ別の結果として扱いましょう。

棚卸しから、次に試す工程と判断条件を選ぶ

まず、議事録・メール作成補助、営業・販売、社内ヘルプデスク、研究・商品開発を並べます。該当する業務について、次の項目を書き添えてください。商品開発の欄は、前節の工程に分けると、具体的な作業まで絞れます。

  • 使っているか — 未利用・試行中・日常利用のどの状態か。誰が何に使っているかも書く。
  • 効果を実感しているか — 何が楽になった、何の判断が進んだと感じるか。実感がない場合も、そのまま残す。
  • 効果を測れているか — 時間、修正の手間、検証の記録など、比較できる根拠はあるか。なければ「未計測」と書く。

これらは排他的な分類ではありません。使っていて効果を感じていても、測れていないことはあります。効果実感がある業務は根拠を確認し、未計測の業務は比較方法を決めます。未利用の業務は、材料と確認役がそろうかを先に点検してください。

次の候補は、判断に必要で、確かめられる工程から

次に試す対象は、判断を止めている作業のうち、材料を用意でき、出力を人が確認でき、試した後の違いを記録できるものから選びます。新しい案を増やしても判断が進まないなら、不足情報の整理や、すでに得た反応の整理を候補にできます。

  1. 何を決めたいか — 今回の結果で見直す判断を明確にする。  
  2. 何を試し、何と比べるか — 担当者、材料、確認・修正を含む作業範囲、比較する記録を決める。  
  3. 結果をどう判断するか — 続ける・変える・止める条件を先に決める。

上司や経営層への説明には、全国の活用率に加え、自社で止まっている工程、試す作業、確認方法、結果を判断する時期を添えましょう。個人で進める場合も同じ項目を残せます。比較の記録がない場合は、効果がないと結論づけず、測り方を決めてから再度確かめます。

試す工程や効果の確かめ方を整理しきれない場合は、PROTOCOREへの相談も選択肢です。現在使っている業務と、商品開発で判断が止まっている箇所を整理しておくと、次に確かめることを相談しやすくなります。

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(関連本文/関連本文/データ集)。調査出典:総務省(2026)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」(2025年度企業向け調査)。
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