AI研究者のAndrej Karpathy氏は2026年10月11日(協定世界時)、Xで「LLMの能力に対する共通理解の差が広がっている」と投稿しました。LLMにほぼ触れていない約60億人、無料版を時々使う10億〜20億人、数学やコードで最先端のLLMを仕事に使う約2,000万人、研究所の内部で最先端のシステムを使う約5,000人。この分布を「鋭い漏斗」と表現しました。数字は本人が概算だと断っています。
企業が注目したいのは、人数より漏斗ができる理由です。Karpathy氏は、効果は課題の大きさに応じて大きくなると書いています。社内でAIを評価するとき、短い質問への回答だけで判断すると、実力を低く見積もるおそれがあります。
「控えめな効果」は、課題の選び方から生まれ得る
Karpathy氏は、漏斗ができる要因を3つ挙げています。
- 課題の大きさと期間:1段落で答えられる質問では、システムの力はほとんど試されない
- 能力の偏り:デジタルで完結し、結果を確かめやすく、経済価値の高い領域で能力が突出している
- アクセス:無料版・有料版・内部版で使えるものが異なる
また、経営層など数学・コード以外の多くの専門職は、AIの能力を頭では理解していても、体験としてはまだ間接的だと述べています。
試験導入では「確かめられる大きな課題」を1つ選ぶ
たとえば、AI推進担当が無料版のチャットで議事録の要約や文案作成を試し、「少し便利」で止まっている場面を考えます。この結果だけで本格導入を見送ると、課題の大きさとアクセスの差を確かめないまま判断することになります。
編集部の提案は、次の条件を満たす仕事を1つ選び、比較する利用プランを明記して試すことです。
- 人が数週間かけている、自社にとって重要な仕事
- 成果物がデジタルで完結する
- 正しさをテストや原資料との照合で確かめられる
これはKarpathy氏の要因を当てはめた提案であり、どの業務でも大きな効果が出ることを示すものではありません。能力に偏りがある以上、結果を確かめにくい仕事では効果が小さい可能性もあります。
社内のAI評価が「少し便利」で止まっているなら、見送る前に問いの大きさを変えて測り直す価値があります。
出典:Andrej Karpathy「X投稿(2026年10月11日)」