顧客インタビューは新規事業検証の中心にある技術ですが、やり方を誤ると「好意的な感想」ばかりが集まり、間違った自信とともに前に進んでしまいます。この記事では、判断材料になるインタビューの設計原則をまとめます。
原則:意見ではなく「事実」を聞く
人は未来の自分の行動を正しく予測できません。「使いたいですか?」への「はい」は、ほぼ何も意味しません。聞くべきは過去と現在の事実です。
- ×「この製品、使いたいですか?」 → ○「その課題に、いま実際どう対処していますか?」
- ×「いくらなら払いますか?」 → ○「その対処に、いま時間とお金をどれくらい使っていますか?」
- ×「便利だと思いませんか?」 → ○「最後にその問題が起きたときのことを、順を追って教えてください」
すでに時間かお金を使って対処している課題は本物です。何も対処していない課題は、本人が言うほど深刻ではないことがほとんどです。
聞いてはいけない3つの質問
- アイデアの説明から始める — 説明した瞬間、相手は「否定しない優しい人」になります。課題の話を先に、解決策の話は最後に
- 誘導質問 — 「〜って不便ですよね?」は同意を集める儀式にしかなりません
- 仮定の未来 — 「もし〜だったら使いますか?」への回答は検証データに数えない
支払い意思は「行動」で確かめる
口頭の「買います」より一段強い証拠を段階的に取りにいきます。①具体的な導入時期・稟議プロセスを自分から語り始める ②社内の決裁者への紹介を約束する ③有償トライアルやLOI(発注意向書)に応じる。検証の確度は、この行動の強さで記録します。
記録のコツ: 発言を「事実(過去の行動)/課題感(感情)/要望(意見)」に分類してメモする。判断に使えるのは主に前の2つです。5件も聞くと傾向が見え、10件で仮説の生死はほぼ判定できます。1件ごとの記録テンプレートを事前に固定しておくと、チームでの共有と後からの監査が容易になります。
誰に聞くか — 「理想の顧客」から外れた人に聞かない
知人や社内の優しい人へのインタビューは練習にはなりますが、検証にはなりません。仮説で定義した「誰が・どんな状況で」に合致する人を探すこと自体が検証の一部です — 対象者が見つからないなら、それは市場が小さいというシグナルでもあります。
インタビュー設計は新規事業の進め方ガイドの工程5(検証)に位置づく実務です。PROTOCOREの事業創造スプリント「Sprint.」では、この設計と実査に8週間伴走し、結果を役員会に出せる形まで構造化します。まずは無料のWeb診断で、検証プロセスのどこが弱いかから確認してみてください。
参考: 顧客インタビューの原則は Rob Fitzpatrick『The Mom Test』の考え方を、日本企業の新規事業検証向けに再構成したものです。