新規事業の失敗談を聞くと、担当者の力不足が語られがちです。しかし現場から見える景色は逆で、経営の任せ方で詰んでいるケースが目立ちます。丸投げ(「いい感じにやっといて」)と介入しすぎ(週次で売上を詰める)の間に、設計すべき関与の形があります。
新規事業の担当者調査では、成功と評価できた事業は30.6%(パーソル総合研究所・2022・担当者n=1,800)。担当者個人の資質だけでなく、組織側の環境が成果を大きく左右します。
着任前チェックリスト10項目
①テーマに「やりたい人」を充てたか(任命だけの人選は検証の苦しい局面で止まります — 人選の基準)。②時間を確保したか(兼務なら週の何時間かをカレンダーで固定 — 専任ゼロの体制)。③評価を切り替えたか(既存事業と同じ売上評価にしない — KPI設計)。④予算をルール化したか(総額一括ではなく段階投資 — 予算の取り方)。⑤撤退条件を先に合意したか(撤退基準の決め方)。
⑥報告の形式を軽くしたか(分厚い月次資料ではなく、学んだこと3行)。⑦口を出す場面を決めたか(日々の打ち手には介入せず、ゲート判断にだけ関与する)。⑧社内の壁を壊す役を引き受けたか(法務・情シス・既存部門との調整は、担当者より経営の一言が速い)。⑨顧客の声に直接触れる機会を持ったか(四半期に一度、インタビュー同席を推奨)。⑩「失敗の定義」を共有したか(検証して撤退=成功した学習、検証せず漂流=真の失敗)。
経営にしかできない2つの仕事
チェックリストを貫く原則は、経営の仕事を「環境の設計」と「ゲートの判断」に絞ることです。日々の意思決定は現場が最速。経営が価値を出せるのは、現場が動ける環境を整えることと、検証結果に基づいて進む/止まるを決めること。この2つに集中する経営者の下では、同じ担当者が見違えるように動きます。
いま任せている事業がどこで止まっているかは、無料の事業創出ドック(5分)で構造的に確認できます。経営側の視点での受診もおすすめです。
出典:パーソル総合研究所「企業の新規事業開発における組織・人材要因に関する調査」(2022・担当者n=1,800)。